エウロパの海、より。

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本に描かれたことは、本の中では現実なんだ、という暗黙の約束(すみっコぐらしの映画の感想)

「映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」を見てきました。

色々な情報もレビューも出ているので説明などは一切省略して好き放題に感想を書き散らす記事にします。まだ見ていない方で、ネタバレはちょっと...という場合は、速やかにお戻りください。核心に触れるネタバレがありますというか、その辺りと揚げ物の魅力しか語る気はない。

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映画館でえいがをみるえびふらいのしっぽ。

という、ネタバレエクスキューズをしたところでこんばんは。
推しはとんかつとえびふらいのしっぽです。
揚げ物可愛い。
このコたち、お互い心つうじあう仲と言いつつ、夢は「誰かに」食べてもらうことという、お互い外側に求めるものがある感じが非常にしんどい関係性であり、どういう結末ならふたりともハッピーなのか考えるだけでだいぶ眠れない感じになります。しんどい。とんかつがソースとかカラシとかいっぱい付けてるの見ると「ありのままでいいのよ...君にはえびふらいのしっぽが...」みたいな気持ちにならないですか。私は毎日そんなことを考えてしんどいしんどい言ってます。

そんなこんなで映画見ました。
最初から最後まで可愛いし切ないし最高だった...。
見ていてあまりストレスやスリル感みたいな「胃が痛くなる展開」がないので、穏やかな気持ちで素直に笑って泣ける感じのよい映画でした。

結末だけは「これはどうしようもない別れなんだ...」って感じで悲しかったのだけれど、後日談のように語られた、ひよこのページに絵を描いたり仕掛けを作ったりする場面からのエンドロールが、逆転のハッピーエンドのようになっていてなんかもうめちゃくちゃ泣けるんだな...泣けたな...。

そして改めて冷静になってこの結末を振り返ってみると(ここまで2週間かかったんですけど)、
「二度と会えない」ひよこが、何もないページに「ひとりぼっちでいる」。
これが、現実としてのあの物語の結末でした。
ひよこは、ほかのすみっコたちと一緒に行けなくて、
だから最後までぺんぎん?は躊躇してうるうるしていて、
これは永遠のお別れだよ、おしまい、と。

「二度と会えない」人には、どうやったって「二度と会えない」わけで、言葉を交わすこともできないし、何かしてあげることもできない。
ということを、私たちは知っていて、恐らくは、そういうことを何度となく経験し、これからも経験し続けることになるのだろうと思うし、だからぺんぎん?の心境を思ってどうしようもなく苦しくなるんだな...と。

だから、この後に続く後日談で「二度と会えない」「ひとりぼっちでいる」ひよこのために、「何かをしてあげられる」ことの、ある種の奇跡とか幸福とかそういう言葉で呼んでもいいような場面が、なんかこう、めちゃくちゃ響いたんだろうな、と思いました。
みんなが鳥足&くちばしになってるのも可愛かった。

本に描かれたことは、本の中では現実なんだ、という暗黙の約束は、こういうこともできるんだ...という発見でもありました。

すみっコぐらし、わりと本をモチーフにしたグッズが多くて好きなんですけど、映画で、そういう本という「仕掛け」がこんな形で生きていて、すごく素敵だな...と思いました。

円盤買うから早く出してほしいし、ぬいぐるみとかグッズとか色々つけた豪華版にしてほしい。言い値で買う。