エウロパの海、より。

「エウロパの海」の更新報告とか、活動報告とか、思考メモとか。

くらげ、今年見た展示を振り返る。

今年も色々な美術館や博物館にいそいそと出掛けていました。
特に遠方の施設や、期間限定の特別展は、ほんとうに幸運が重ならないと見ることができないもので、見られてよかったな…としみじみ。

その中でも特に強く印象に残っている特別展を3つほど振り返ります。

 

『京のかたな 匠のわざと雅のこころ』京都国立博物館

katana2018.jp


正直、行く前は「刀ばっかり何百も見て面白いか…?ただ人混みに疲れて帰ってくるだけでは…?」と半分思っていたんですが、杞憂に終わりました。
なぜ鉄の棒がこんなに美しいのか。意味がわからない。美しい。ひたすらに美しかった。

平安に始まり時代順に展示されている膨大な刀剣は、山城鍛冶の歴史が幕を下ろすところで終わっており、ひとそれぞれ感じ方は違うとは思いますが、私にとっては、刀というものは完全な「過去」なんだな、というのを強く感じた展示でした。それは同時に、歴史を背景に見るものだからこそ美しいのかもしれない、とも思います。無理に今の時代に引っ張り出しても、もう武士はいないし、戦もない。包丁やペーパーナイフは技術の伝承にはなるかもしれないけれど、それは刀とは別のものなのだし、うまく言えないのだけれど、時代と共に歩んできたものは、時代と共に語られるべきなのだろうと思ったりもしたのでした。
ほんとうに美しいものを見せていただいた…。


『絵本のひきだし 林明子原画展』宮城県美術館

www.asahi.com

林明子さんというと「はじめてのおつかい」が一番有名でしょうか。
ほかにも小さい頃に読んだ絵本がいっぱいあって、懐かしさで泣いた。私が一番好きなのは、きつねの縫いぐるみと一緒に電車に乗って旅をする「こんとあき」でした。めちゃお気に入りだった。今見てもこんが可愛い。ほんとうに素敵なものを見せて頂いた....。

懐かしいばかりでなく、絵の中に隠された様々な仕掛けや意図が説明されていて、表現についてものすごく勉強になりました。

何より、こうして長い年月を経て見た時に、懐かしんで温かい気持ちになれる本に出会えていたということが、ほんとうに幸福なことに思えたりもしました。

 

『モネ それからの100年』横浜美術館

monet2018yokohama.jp

展覧会の趣旨はともかく普通にモネを楽しんできました。
好きだな、と思う絵が多くてとてもよかった。特に『テムズ河のチャリング・クロス橋』という絵がものすごく気に入って絵はがきをかったんですけど、絵はがきじゃ伝わらない…すごさが1%も伝わってこない…。こう、光がぶわっとして白と赤が美しくてな...(語彙力の限界)ほんものだから伝わるもの、のようなものを強く感じたりもしたのでした。綺麗にまとめた。

ところで、音声ガイドが櫻井孝宏さんだというので、生まれて初めて使ってみたんですけど、やばかった。諸事情により人を殺さずに生きてきた槙島さんがモネを語っていた。


ほかにも、エッシャー展面白かった、とか、アンデス展も視野が広がるような展示でとてもよかった、とか、色々見たなあ、と。特別展ではないけれど、お気に入りの大原美術館にも行くことができました。ゴーギャンが常設展にあるんですよ...そのためだけに足を運んでもいいくらい好きな絵が...。


来年は、とりあえずなんやかんやあって行けていないムンク展に行きたいんですけど、行けるかな…。