エウロパの海、より。

「エウロパの海」の更新報告とか、活動報告とか、思考メモとか。

今年の創作活動を振り返る 2017ver.

今年つくった二冊の本と、二つのお話のこと。

なんかこう、適当な感じでいきます。よろしければお付き合いください。

 

巻頭特集:この装丁がやばい2017

いや、コスト的な意味で。
9月の文フリ大阪で出した『弓と空』なんですが、こんな本でした。

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ぱっと見た感じ真っ白だけど、触ると植物がある、というデザインで、思い付いたときは「この本にはこれ以外の装丁はないんじゃないか」と思い、とりあえず見積フルオーダーっていうか、そもそもこんなコマゴマした浮きだし加工できるのかというとこも含めて印刷所さんに問い合わせたところ、

「出来るといえばできるが、細かいとこはやってみないとわからんな。そもそもこんな面積は規格外だぜ」

ってなんかRPGに出てくる荒野の武器屋みたいなこと言われたのがいい思い出です。

「作りたい本を作れずに、ほかに何に金を使うのだ?」

と脳内RPGの長老が言ってたのでGOしました。満足です。

中身は、いつぞやのハヤカワSFコンテストで一次を通過し二次で落ちたアレです。色々と転機になった作品ですが、それについてはまたいつか。

 

今年作ったもう一冊のこと

8月の尼崎文学だらけに合わせて発行したのが、ペルセウスの旅人』でした。
数年にわたってバラバラに書いていた星にまつわるお話があったのですが、いつの間にやら、そのお話同士があちこち勝手に繋がったりしていたので、ひとつの物語に組み立て直すことは出来ないかと思って作った再録本でした。

あまぶんの推薦文や、読んだ方からのご紹介・ご感想など、色々な方から嬉しいお言葉をいただきました。ぜんぶ大切に保存しています。
今年旅立って行った本に関しては、ほんとにこれ自分ひとりの力じゃないな、と強く思います。

 

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巻末付録:タイトルはこうして付けました2017

個人誌以外に、アンソロ用に短いお話をふたつ書かせていただきました。

ひとつは、綿津見さん主宰の『アンソロジー空』に寄稿させていただいた『夜をまだ知らない』。はじめにこのタイトルが思い付き、中身はぐだぐだと中々まとまらなかった記憶が。

ところでタイトルが本文中にあると、そこではっとなったりして、「ここ、ここですよ!」っていう効果があり、特に私のように抑揚のないローテンションな文章には効果的なんですが、今回のこれはタイトルを本文に変則的に組み込んだものでした。
タイトルだけ読んだときと、本文中に組み込まれたこのフレーズとで、意味が変わるようにしています。お手元に迎えてくださった方は、ぜひお確かめください。


もうひとつは、テキレボアンソロ『祭』に提出した『浜に打ち上げられた鯨の話』
めちゃ短いお話ですが、サークルカットみたいなものだから、短ければ短いほどよかろう、と思ったわけではなく、単に時間がなかったせいで既定文字数の半分くらいになったというアレです。

辞退も考えたのですが、ネタはあるのだから書けばいいという結論になり、ちなみにネタは3つあったのでとりあえず3つとも草稿を書いてみて、そのうち2つを採用したとかそういう裏話もあります。

このタイトルは、タイトル自体を本文に組み込むという試みでした。というか、本文をタイトルに押し出したというか。
体言止めの文章(多くはキーになるような言葉)が1行目にぽんと置いてあって、その説明から入るような書き方があると思うんですけど、その1行目をタイトルにしちゃったバージョン。気に入ったのでのちに別のところでもやってました。
なお、掴みには使えますが、効果は長続きしないので短編向きだなーと思った覚えが。


ついでに個人誌のタイトルも振り返ってみたり。

ペルセウスの旅人』は、昔から何となく頭の中にあって、いつか本に付けたい思っていた「とっておき」の言葉でした。サイトには、過去に描いた絵や短いお話で、似たような(あるいは同じ)タイトルの作品がいくつかあります。

『弓と空』については、読んでいただければ分かるんですけど、これはこれ以外のタイトルはなかった。
なお、アイヌ語の習得は今年の目標のひとつですが、進捗だめです。

 

そして編集後記~冬眠の現場から

例年、春になるともぞもぞと活動を開始し、本やペーパーを作ったり、ご縁があればアンソロなどに書かせていただいたりして、秋の終わりとともに冬眠します。
今年もすでに冬眠ターンで、しばらく本作りはお休みでイベント参加もありません。
(※二次創作はこのサイクルと関係ないので、何か出る予定ですが)

冬眠中は、長いお話を書くことにかかりきりなので、基本的に外向きの活動はしていません。長い旅に出ているのだと思っていただければと思います。

では、また、春に。