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エウロパの海、より。

「エウロパの海」の更新報告とか、活動報告とか、思考メモとか。

【テキスト】今年の読書ダイジェスト2016

時系列に沿って今年の読書を振り返るアレ。


今年は、アグレッシブに新しい本を探し回った記憶はあまりなくて、どちらかというと、今必要としている本を本棚から引っ張り出すことが多かったような気がします。

過去に読んだ本に助けられた1年と言ってもいい。読書はそれ自体がひとつの経験だな。などといきなりまとめに入ったけど、これからだから。まだ始まってないから。ではどうぞ。


『悪霊』(ドストエフスキー/江川卓訳)

前年秋から続く"ひとりドストエフスキー祭"ですが、冬が終わる頃まで続いておりました。この時期、仕事が忙しすぎて「ロシアに逃亡したい」とか言ってた。なお、CP的にはシャートフくん×スタヴローギンを推しております。「尊い」という言葉がここまで似合うCPもなかなかない…などと...1つめから何言ってんだろうな...。

 

中島敦(『山月記』『かめれおん日記』『光と風と夢』)
辛くなったら中島敦を読もう。
つまり色々辛かったんだな。春先のことでした。まあ色々ありました。まだ色々あるし、最近もたまに読み返しています。『山月記』は、ささやかな、ほんとうにささやかな勇気のお話です。『かめれおん日記』は、立ち止まったときに隣に居てくれるお話です。『光と風と夢』は、迷いを振り切るためのお話です。もう10年以上の付き合いです。これからもよろしくな。



文豪ストレイドッグス』(春河35/朝霧カフカ
色々あったのが一段落し、稼働調整(残業し過ぎてサブロクに引っ掛かった)という名目でネカフェでサボってたとき読んだもの。さらっと読んで「けっ」ってやるつもりが、なぜか今年のベストオブ沼だった。あとは、現状ご覧のとおりです。現場からは以上です。



安西冬衛
ふと目に留まって興味を持ったものの、現在、全集から何から絶版となっている詩人。萩原朔太郎に評価され世に出たという経緯には、読めば何となく納得する感じの、なんかそういう詩。近所の図書館に全集があった。基本的に本は手元に置きたい派ですが、こういうとき図書館ありがたい。


 

『生命誕生 地球史から読み解く新しい生命像 』(中沢弘基)
生命の起源を、生命の外側、つまり地質や海、大陸移動説やエントロピーなどまでひっくるめて考えたら、新しい生命史が見えるんじゃない?という本。その視点はなかった、の連続で、読み物としてとても面白かった。


 

リリーのすべて』(デイヴィッド・エバーショフ)
「在りたい自分でいさせてくれる」というのは最上の愛情だろう、というのに尽きる。それは許しや受容とは違うし、まして理解とも違う。
ちなみに映画はわりと最近見ました。



『モモ』(ミヒャエル・エンデ
「時間は大切だよ」と言われても「知っとるわっ」なんだけど、「自分の時間は、自分で守らないといけない」という言葉には、何かしら打たれるものが。童話だけれど、昔はいまいち分からなかった気がする。それもまた、童話の役割かもしれない。いつか必要になる時のために記憶の片隅で待っている本が、他にもあるかもしれない。夏に実家で発掘してきた本のうちの一冊。


 

『星は、昴』(谷甲州
私が想像する宇宙など、まだまだ限定的で狭っ苦しい箱庭だな…とほわほわ。どっかで見かけて読みたくなり、まあ谷甲州なら実家にあるだろうと思ったらやっぱりあった。谷甲州はかたいイメージあるんですけど、これは読みやすかったです。



織田作之助

経緯については何も言うまい。ぴょんぴょんした文体がとても読みやすくて、手持ちの文庫で3周くらい読み返していたのでした。あと、「すっからかんでも結構生きていけるもんだな」みたいな気持ちになるのでとてもよい。何がよいのかは分からんけど。
どうでもいいけど、文ストコラボカバーの『天衣無縫』は収録作品のチョイスが「お前の好きなやつ詰めといたから」感すごかったです。ぜんぶ好きなやつだった。ありがとう角川。



『楽園の泉』(アーサー・C・クラーク/山高昭訳)
遥か遠い過去から、まだ見ぬ世界へと続く、その連続性の美しさ。「今、ここ」から地続きの未来に引き込んでいく力こそ、SFの本質だと思わせてくれる。
クラークの描く世界そのものは、必ずしも美しいものではないし、そこに登場する人々は皆素晴らしい人というわけでももちろんなくて、まあわりと普通に好感が持てたり憎たらしかったりするけれども、ただ物語だからこそ美しいのだと思ったりもしたのでした。〆にちょうどいい(ってのもアレだけど)本が最後に来た。よしよし。


 

以上、お付き合いありがとうございました。
この先もよい本と出会えることを祈りまして、ひとまず解散。